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「今日は良いお天気ですね」「最近はとみにお忙しそうですね」「先日の新聞に御社の新製品のことが出ていましたが」といった具合です。
こうしてお互いにリラックスして、話しやすい雰囲気を作りたいのです。
どのくらいの時間かというと、かなり状況に左右されると思います。
一言で終わることもあれば、数分のこともあります。
キーマンの到着が遅れていて待っている間、数十分間ずっとやることもあるでしょう。
ともあれ、以下のようなことに注意して行いましょう。
「緊張をほぐす」話は本題に関係がないので時間の無駄だ、と考える人もいます。
また、相手によっては、こちらが「緊張をほぐす」話をしようとすると、「そんなことはいいから、用件は何だ?」といって遮られることもあり得ます。
そこで短絡して、このような「緊張をほぐす」話はケースバイケースで、やってもやらなくてもいいんだ、と考える人がいます。
しかし、それは間違いです。
結果的にやらないことがあるとしても、やった方がよい、と考えましょう。
ですから、こちらの出方としては、やろうとしましょう。
スキル1アイスブレイク(あとで詳解)、相手に関心があり、イエスを取りやすい質問をしていくこの緊張をほぐす「配慮をする」態度が大事なのです。
このような配慮に無関心なことが問題なのです。
1節で取り上げたCasel「PLとAさんの交渉」では、この配慮が全くありませんでした。
ということは、相手に対する配慮がないということになります。
つまり極論すれば、相手を人間扱いしていないということになるのです。
これでは交渉が上手くいかなくても仕方がないといえるでしょう。
pL:唐突に話を切り出す「今回の案件ですが、あとちょっとで終わるんですけど、追加の作業が発生したんですよ。
それでAさんの力をお借りしたいんですが。
できますかね?」Aさん:いきなりの謡に戸惑った様子「今やっている仕事で手いっぱいなんで」pL:相手を見ずに一本調子で「今回の追加っていうのはですね。
もうほとんど機能はできあがっているんですが、画面の入力の機能を増やすだけなんですよ。
で、これは恐らくAさんにやっていただいたら、すぐに終わるようなものなんですよ。
ここにちょっとですね、ぜひ力を割いてもらいたいんですよ」Aさん:「今、同じプロジェクトで抱えているものもありますし、ちょっと厳しいかなと-・-」2日分の気持ちを言葉で表す。
「イヤ、私は相手をもちろん人間と思っている。
ただ、そんな仕事に関係のない話をしないだけだ」という人もいます。
これは誤解というものです。
自分が相手をどう思っているのかは、そのことを態度や言葉に出さなければ相手にはわからないわけです。
「一緒になって、フランクに問題を話し合おう」と思うなら、そのことを伝えなければダメです。
相手に働きかけをしなければ相手には通じません。
その具体的なやり方や言い方については、「スキル1アイスブレイク」として後ほどあらためて紹介します。
気になる方には、次のステップへ行く前にその節を読んでもらってもよいと思います。
以下のステップとスキルも同様です。
このステップだけではありませんが、「みなまでいうな、お前の気持ちはよくわかる」というのは(あるいは「あうんの呼吸」というのは)、お互いがよく知り合い、わかり合った関係の場合にのみ通用することです。
普通の交渉の場合には、自分が相手をどう思っているのかを上手に相手に伝えなければなりません。
「私の気持ちもわかってください」と思っても、何もいわなければ相手には通じません。
これらはコミュニケーション上の手抜きにほかなりません。
このように手抜きをしているのに手抜きだとは思っていない、あるいはわかっていない人がいます。
この結果として、人間関係が上手くいかないことがあったり、人から誤解されたりしたら、自分が損です。
相手に対する言葉上の配慮は他人のためであると同時に、むしろ自分のためだともいえるのです。
交渉のスタートは、議論しやすい雰囲気作りから。
相手に対する配慮を言葉で表現しよう。
ある年配のPLの方は急成長した会社の生え抜き社員で、自分は会社に貢献してきたという自負心もあるし、それなりの実績もある。
仕事に対しては常に前向きで、アイデアもいろいろ出すし、技術力もある人だ。
役員を除けば、会社のことを最も考えている人といっても過言ではないくらいだ。
その方が、つい最近、なんと左遷されてしまったのだ。
プロジェクトの現場を離れ、資料のとりまとめや総務的な雑用をする仕事に。
ハッキリいって、閑職だ。
なぜか?いろいろなことがあるだろうが、私が第三者の立場で見て大きな原因と思われることは、仕事上のミスというのではなく、周りの人から疎んじられたことだ。
嫌がられたのだ。
プロジェクト運営の社内標準化をかなり強引に推し進めたのだが、そこで社内の多くの人と摩擦を生じてしまった。
やっていること自体はいいことなのだが、感情的反発を招いてしまった。
では、なぜ反発されてしまったのか?要するに、一言でいってしまえば、「緊張をほぐす」話の配慮をしなかったからだ。
「そんな馬鹿な」という声が聞こえそうだが、そうとしか考えられない。
この方は、この配慮に価値を置かない人なのだ。
私は注意したのだが-一。
すなわち人に対する配慮に乏しくて失敗した。
たとえば、「大変だね」の一言をいって、相手の愚痴でも聞いてあげる、ということがなかった。
「正しいことをするのになんで皆は文句をいうんだ、文句をいうこと自体間違っている」とやってしまい、無用の乱襟を生んで、それが社内に広まってしまった。
ちょっとした一言の重要性。
人を動かすときには、それが潤滑油として欠かせないのである。
ステップ2提案説明。
相手に対する配慮の言葉をやりとりしたら、交渉の本題を切り出します。
前に書いたように、本題の切り出しは、相手の出方を見てからどうするかを決めるのではなく、自らが先手を取って切り出した方がうまくいきます。
相手をコントロールし、効果的に交渉を進めるためには、次のように先手で話し始めます。
「ところで貴方に来ていただいたのはお願いしたいことがあるからなのです。
実は、お客様から追加の作業を依頼されたので、それを貴方に担当してもらいたいのです。
おおよそ3分の1人/月くらいの作業量だと思います。
今のところ-「で、今日お伺いしましたのは、先日のご依頼の件について私どもの提案をさせていただきたいからです。
私どもとしては、御社のご要望には全面的にお応えしたい考えです。
品質的に最も確実な方法として、変更依頼のありました40帳票につきましては、カットオーバー後1.5ケ月の予定で、別案件としてやらせていただきたいのです。
といいますのは--」そして、自分の相手に対する依頼内容や提案、主張(A案)を、わかりやすく、しかもきっぱりといいます。
1節のCasel「PLとAさんの交渉」のように「とにかくやってくれ」の一点張りではなく、「具体的にどのような内容」を「なぜ貴方にお願いしたいのか」を、納得のいくように説明したいのです。
以下の2〜5に注意しましょう。